この日は旧グッゲンハイム邸に三田村管打団？を観に行きました。
管打団これまで何度も観てきていますが、旧グでのワンマンを観るのは初。いつにも増してのびのびとした、アットホームな……というか、家そのものですが。
このところリズム隊の参加率が低い中、メンバーが最も集まれる日にブッキングしたというだけあって、ドラムス・パーカッションが久々に揃い踏み。更に、しばらくお休みだった澤井まり、最近ご無沙汰だった河村光司、そして第二子出産後初の廣田智子も二ヶ月の赤ちゃんを連れて復帰し、総勢12人（と一児）の大所帯。
「レコ発」と銘打ってのライブにも関わらず、残念ながら新譜の発売は間に合わなかったんですが、セットリストは新旧織り交ぜての幅広い選曲で、年忘れ気分を盛り上げてくれます。中でもLive! Laugh!時代の「チャ・チャ」は、吉野竜城が「おー、懐かしいね」と呟いていたほどですが、僕が管打団でこの曲を演奏しているのを聴いたのは多分初めて。過去に何度か演奏してたんでしょうか。Live! Laugh!唯一のアルバム「風ヲ切ッテ進メ!」の中でも特に管打団にマッチすると思っていた曲なので、初めて聴いた気がしないフィット感でした。
この後、吉野氏が「チャ・チャは大原さんの曲じゃないよね」と言っていたんですが、どうやら別の曲と勘違いしていたらしく、しかもその「別の曲」が思い出せないようで、後半でやっと思い出して「あーすっきりした」とひとりごちて「いや、こっちの話です」。そのすぐ後に、廣田氏・不動氏が二人で何か楽しげに話していたかと思うと、「いや、こっちの話」。ステージ上で「こっちの話」が飛び交うライブ。それが管打団クオリティ。
今回もやはりやらざるを得ない「子どもが生まれた」（それにしても、メンバーの妊娠・出産・子育てがここまで密接に関わるバンドも珍しい。この日もアリさんご子息の恩ちゃんが最前線で鈴やカズーを振り回したりお客さんに渡して回ったりしていました）では、終了後に小さい女の子の「もう終わり？」の声。なんとこの子が新譜に収録されている「子どもが生まれた」でも重要な役割を担っているという“小さな奇跡”。
「ルガール・コムン」では、女性管メンバーが終わるタイミングを間違えてしまい、テーマを一周余分に演奏してしまっていましたが、それが苦笑を誘いつつも結果的にはとてもいい演奏になっていて、その辺りのリカバリー力はやはり10年選手の成せる技……と言うべきか、いやはや何とも。
この日のハイライトとも言える圧巻の「旅行」で前半を終え、後半では廣田氏が子供のこともあってか、退場することに。しかし、1曲目の「スチール・ビート」（間近で吉野氏の爆裂トロンボーン・ソロを喰らって頭クラクラでした）が終わったかと思うと「やっぱりやる」と戻ってきて、そのまま子供を抱っこ紐で抱いて、立ったまま最後まで演奏。母は強し、とは言いますが、見た目に反したこの人の芯の太さはバンド随一ではないでしょうか。
その廣田氏がソロを吹いた本編最後の「キネンジロー」では、久々の池田氏のトライアングルのイントロに全員しばし聴き入るという場面も。随分長い間、池田さんのいない管打団を聴いていた気がしますが、やはり池田さんのパーカッションあってこその管打団だなあ、と思うことしきりなこの日の演奏でした。
今年は個人的にも例年になく色々とお世話になった管打団も、この日が年内最後。結成10周年ながらもアルバムは間に合わず、特に周年イベントを行うでもなく、新曲も無ければメンバーも集まり切らない、相変わらずのマイペースさでのびのび楽しく音を紡ぐ天上の楽団は、来年も多分、何気無い日常にちょっとした奇跡を起こすような、見逃すとちょっと悔しい、目撃すると心の中に宝物が生まれるようなことを巻き起こしてくれそうで、やはり相変わらず目が離せないことになりそうです。
この日のメンバー編成は以下。
clarinette 武田裕里子
soprano sax 亀井奈穂子
alto sax 澤井まり
trumpet 森本アリ
flugelhorn 平岡新
trombone 廣田智子 不動翔子 吉野竜城
tuba 河村光司 塩田遥
percussion 池田安友子
drums 塩入基弘
＜セットリスト＞
1st set
オオハラII
バイエルン
チャ・チャ
子どもが生まれた
ちびくろサンボ
ルガール・コムン
旅行
2nd set
スチール・ビート
ピグミーの歌
コッペパン
茶菓
管打団、西へ
キネンジロー
ルダビールダビー
| 風ヲキッテ進メ! | |
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リブ!ラフ!
オフノート 1999-09-19 |