山本精一 presents 大ミュージカル “水道メガネ殺人事件” 〜すごいロボット宇宙人の世界編〜 at Namba BEARS (Osaka)

この日はNamba BEARSに「 山本精一 presents 大ミュージカル “水道メガネ殺人事件” 〜すごいロボット宇宙人の世界編〜」を観に行きました。

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期待通り……と言うか、期待を上回る(もしくは下回る)くだらなさ、完成度の低さ、中身の無さ。しかし、その「面白くなさ」が最高に面白いという、山本精一ワールド全開のステージでした。

「星に願いを」の歌詞を全て「水道メガネ」に変えたテーマ曲と、ドイツ人(ドイツ国旗を持ってたので恐らく。但し言葉は外国人訛りの日本語と英語)とロボット(15センチ程度の玩具にナイフの模型を貼り付けて、背中から馬の眼前の人参の如く吊るしたもの)の対話シーンをオープニングとエンディングに配してストーリー性を持たせているものの、本編はバラバラの登場人物による、脈絡もオチも、台本らしい台本もないような寸劇と、古い歌謡曲(「おおシャンゼリゼ」「ケ・セラ・セラ」等)のカバーを交互に繋げていくだけ。寸劇は、オチのない雑談、井上陽水「夢の中へ」の練習なしの弾き語りカバー、酔っ払いと生き別れの母(麻薬の売人)との再会シーン、河合カズキによるMASONNAのパロディ(ノイズ発生器で米を研ぎながら飛び跳ねたりしてました)、吉田ヤスシ演じる自称セルジュ・ゲーンズブールによるスポーツ新聞拾い読み、ガンジー石原の頭にろうそくを立てての尺八演奏、山本精一によるペットボトルの緑茶を使った一人お茶会超能力パフォーマンス(勿論失敗する)等々……。

文字だけで見ると実際よりもちょっと面白そうに見えますが、実際は間の悪さや詰めの甘さ、演奏の拙さが全編を覆っていて、唖然と苦笑と沈黙の連続でした。

しかしそれは全て山本精一の計算通りで、お客さんもそれを求めて集まっているという、まあ、異様と言えば異様な光景です。

自分を含め、観に行って損した、という人は多分いなかったでしょうし、それを損と解釈する人が足を運ぶことのないイベントだったと思います。しかし、それに負けじと、度を越した完成度の低さで2時間弱のミュージカルを舞台にかける氏の胆の座り方には恐れ入るというか何というか。「面白い」と思うことに対するブレの無さが、市場ニーズから完全に逸脱していて、だからこそ唯一無二の面白さを生み出しているという、ある意味「ベアーズ」のアイデンティティを一身に背負って繰り広げられた迫真の演技、とも言えるでしょう。

最後は山本の朗読で「水道メガネとは須原だったのだ」と唐突に結論が提示され(須原敬三はバンドのベーシストとしてステージに常駐していました)、出演者達との「ケ・セラ・セラ」の大合唱で何となく大団円のような気にさせられ、前述の「水道メガネのテーマ」とともに、手書きで意味の無い言葉が書かれたコピー用紙がばら撒かれ(僕が手に取ったものには「あの時のアレ?」と書かれていました)、舞台は幕を閉じました。

「一歩間違えれば……」などという生易しいものではない、油断すると学芸会を観ているのかプロの舞台を観ているのか錯覚しかねないような極めてタイトロープなパフォーマンスでしたが、だからこそ観に行って良かったと心底思える、意味不明の異様な強度を持ったプログラムでした。

山本精一&水道メガネ殺人事件(VHS)
山本精一&水道メガネ殺人事件(VHS) 山本精一 須原敬三 豊田道倫 芳垣安洋 ナスノミツル ヨシミ(声+手) 山崎マゾ 新藤ユカ 佐々木徹也 今田賢一 川上拓巳 松本拓也 あさひなかな 河合カズキ 蒲池正哉 吉田ヤスシ 尾崎伸行

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