P-hour presents ONJO concert The premiere performance of ONJO acoustic version at 京都芸術センター (Kyoto)

この日は京都芸術センター大友良英 ニュー・ジャズ・オーケストラを観に行きました。

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この日のメンバーは、臨月が近いのか、かなりお腹の大きくなっていたカヒミ・カリィをはじめとするレギュラーメンバーに加え、ゲスト参加の梅田哲也、公演直前に参加が決まったアクセル・ドナー、さらに、当日に道でばったりあったので急遽参加してもらうことになったという江崎將史、と、かなりスペシャルな編成に。

フロアには、メンバーの機材と椅子が内向き・円形状にレイアウトされており、お客さんは、その内側でも外側でも自由に鑑賞できるという仕組み。アンプリファイされた楽器と完全に生の音だけで響く楽器が混在しているので、聴く場所によって音のバランスが劇的に変化します。
最初はアクセル・ドナー後方に留まって聴いていましたが、そのうち一人、二人とお客さんが動き始め、僕も途中から周囲を周りながら聴く鑑賞法に。

興味深かったのは、生楽器はアンプリファイされた楽器と比べて、どの位置からでも音がよく通っていたこと。特に笙の場合、何処から聴いても殆ど同じ音量で響いているんですが、スピーカーから出ている音だと、角度や距離によって音のバランスが大きく変わっていました。やはり、元々生で鳴らされることを前提に作られた楽器というのは、鳴り方が全然違うものですね。

演奏は、精華で聴いた時よりもさらに、音韻ではなく音響を主体としたアブストラクトなインプロビゼーションが中心。「Lost In The Rain」以外は完全即興だったようです。

梅田哲也は、いつもながらの独創的な装置での演奏。その対角線上の位置にいる宇波拓も、ラップトップと連動した板の上に段ボールやメジャーを立てたり重ねたり、それをまた崩したりする、という不思議なパフォーマンス。

昨年のENSEMBLES展での「quartets」に通じる偶発性、ノンリニア感を堪能しているうちに、約90分程の本編はあっという間に終了。アンコールの「(They Long to Be) Close to You」(唯一楽曲らしい体裁による演奏でした)も含めて2時間足らずでしたが、コンサートと言うよりも、インスタレーションとしての濃密な時間が生み出されていたように思います。

これにて、ONJOとしての活動は一旦休止とのこと。僕にとっては、それまで「ジャズのビッグバンド」と言えば、大人数によって圧倒的な音量・音圧・ハーモニーを生み出すことのダイナミズムが本分だという認識でしたが、ONJOの場合、それぞれのパーソナリティを発揮することで生まれるコンプレクシティが予測不能のオーケストレーションを奏でるという、それまで未体験だった表現方法だったので、理解するまでに一定の時間が必要なほど、大変刺激的でした。

そしてその音楽は、時を経て、進化を続けるうちに、「楽曲」という枠を抜け出し、現代音楽や現代アートとしての側面を強めていきましたが、その音楽は宿命的とも言えるほど、明確に「ジャズ」。そのことが、改めて「ジャズ」という音楽の持つ懐の深さも感じさせてくれました。

今の大友氏が「ジャズ」に対してどの程度の関心を抱いているのかは分かりませんが、この時代に楽団の名前に「ジャズ」を冠して先鋭的な活動を行ってきたことは、日本の音楽界にとって非常に重要な事だったように思います。

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