「音楽と場所 -場所を持つ音楽オーガナイザーによる三都物語-」 at 水都大阪 (Osaka)

この日は、文化座劇場で行われた「音楽と場所 -場所を持つ音楽オーガナイザーによる三都物語-」というトークイベントに行ってきました。

建築家の山崎亮が司会進行を行い、森本アリ、山本精一、田村武という、市のイベントとは思えないオルタナティブな三人に、音楽と場所との関わり合いについて話してもらうという企画。
初めに、三人がそれぞれ自己紹介と合わせて、旧グBEARSshin-biについて解説し、それに対して山崎氏がそれぞれ詳しく掘り下げるような形で話が進められます。途中、ノイズミュージックに関する山本氏の講義(「良いように言えばダダ。でもやってる本人たちはそんなこと考えていない」「MERZBOWは僕はノイズだと思わない。本当のノイズは非常階段」「美川俊治がノイズマシーンを発明」「ノイズ“ミュージック”という言い方はおかしい。ノイズは“ノイズ”」「(ノイズの面白さは)ライブを見れば分かる……危険が伴うけど」等々)なども。

山崎「ライブは危険なんですか」山本「百貫デブが飛んできたりスタンガン振り回したり」山崎「スタンガンっていうのは、楽器として使うんですか」山本「いや、人を、そういう風にするために」のやり取りは爆笑ものでした。

その後、京都がノイズの発祥、という話から、磔磔や拾得がアメリカのヒッピーがフラワームーブメントの時代に日本に来て建てたものだ(禅の思想とヒッピーの思想がリンクしていたらしく、当時、左京区辺りで様々な交流が行われていたそう)などなど、西部講堂を始め、京都が先鋭的な音楽の土壌となっていたという話など。また、大阪のライブハウスは京都と違って長く続かない、その理由は、学生の町である京都は人の入れ替わりがあるが、大阪は働いてる人が多いので入れ替わりが少なく、ライブハウスとともに歳を取っていってしまうのではないか、という推論。

それでもベアーズには、若いお客さんが沢山来てる。その理由は、ベアーズが一つのジャンルを確立していること、そして「変な奴っていうのは、何十年何百年経っても、一定量いるから」という結論から、「大阪は奇人の町だから、もっとそれを全面に押し出さないと行けない。奇人と言うのは、新しいものを生み出す力を持っている」と熱弁する山本氏。

「発狂したような町にしないと。発狂都市。まあ、知事はちょっと発狂してるかも知れないけど……」

神戸の町はファッションの町で浅く薄っぺらく、音楽のイベントをやってもお客さんはあまり音楽を聞いてくれず、お客さん同士でおしゃべりをしてる……などとアリ氏が神戸について話していると、田村氏が「神戸のライブハウスって行った事無い」と爆弾発言。

山本「京都の人は、他に出なさ過ぎるよ」田村「(神戸は)大阪よりも遠いんですよ」山本「そんなん言い訳やわ」田村「京都はチャリの町なんで……」山本「どおいうことやねん(笑)」田村「京都は京都の中で何でも揃う、と京都の人たちは思ってるんで」

このあと何故か山本氏の出身地・尼崎の話になり(元々「尼崎県」だった城下町で、神戸とは格が違う、とか)、「大阪の話しないと」と山本氏自身が軌道修正し、本筋の話へ。

大阪市で音楽の「場所」となれば通過せざるを得ないBRIDGEの話。フェスティバルゲートにNPOとして入ったいきさつから、(市の施設なので)家賃もノルマも無いことによって、様々な実験的なイベントが行えたこと、そういう施設は日本にBRIDGEしかなかったので、それが無くなったのは由々しき問題だという話。

以下、そこからの話の流れに沿って、面白かった発言、興味深かった発言などをまとめてみました。

山本「ああいうことが出来るのが都会の良さ。田舎じゃ出来ない。都会性とはそういうこと。変な連中が変なことがやれるのが都会。そういう町が出来ないと意味が無い。大阪市に、BRIDGEに変わる場所を提供してほしい」(また、BRIDGEを作った市役所の人が、BEARSでバンドをやっていた山本氏の知り合いだったという裏話も)

アリ「今は機材をレンタルするのも安くできるし、設備が何も無い空き地でもいい。場所さえて提供してくれればそれだけで良い」
田村「京大西部講堂はスクワットを認めたような状態。日本は国としてスクワットを認めるような法律はないが、自治体が率先してやってくれればいいのでは」
アリ「僕らは今タダに近い形でイベントをやることが出来る立場だけど、それを外に広げていくのは難しい」
山崎「色んな人が入ってきて色んなことをやっていくというスペースが都市からどんどん無くなっている。お金を払わないと入れない場所が圧倒的に増えている」
山本「天王寺公園も、ホームレスを閉め出すために有料にしてしまった」
山崎「都市の余白の部分・遊びの部分がどんどん無くなっていっている。一方で、オフィスが余っていたり世帯数が減ってきていて空き家も増えていく」
アリ「ベルギーだと、どの劇場も国と市から助成金が入っていて、出演者にちゃんとギャラを払えてるのに、入場料も安くセッティングできる市立劇場のようなところで山本精一氏のような面白い人が芸術監督をやっていたりする。日本では結局天下り先になっていて、企画など出来ない」
田村「ヨーロッパでは、空きビル・空きテナントが一定期間以上空く場合はギャラリーやフリースペースにするためにオープンにする、というようなことに取り組んでいるところもある。大阪も、空きが多いならギャラリーやライブハウスとして使えるようにして、若者を活性化させるための仕組みを作れば良いのでは」
山崎「それが可能であれば、空きスペースを転々と移動しながらイベントを継続していくのも面白いかも知れない」
山本「どんなものでも、20年は続けないとモノにならない」

その後、BEARSの名前の由来(元々は「BLACK BEARS」という名前で、部落解放同盟(「BLACK」と「部落」をかけていた。「BEARS」は、店長が「熊」というあだ名だったから)の若い学生たちで始めたそうで、当時ブッキングをしていた山本氏がハードコアなバンドばかり呼んでいたら全員逃げ出してしまい、一度潰れてしまったものを山本氏が引き継ぎ、今のBEARSとなったそう)の話、それから質疑応答(山本氏の無茶振りによる)からイベント運営に際して、周辺住民との兼ね合いや気遣いはとても大事だ、という話などがあって、トークイベントは終了。

「物知り博士やからな。知らんことは無い」と様々なうんちくを織り交ぜながら暴走気味に喋りまくる山本氏、マイペースで二人の会話にゆるりと絡む田村氏、聴き手に分かりやすいようにと話を整理しながら進めていくアリ氏、と三者三様のキャラクターが楽しく、興味深い話も沢山聞けた、充実の90分でした。特に、空きテナントや入居者のいない賃貸物件を活用する話は、例えが悪いですが「サブプライムでローンの支払いが出来なくなった入居者を、追い出さずに住まわせておく」のと同じように、放置することでメンテナンスに費用がかかるなら、短期間の契約によって小額の賃貸収入とメンテナンスフリーの環境が与えられるなら、win-winの関係が築けるように思いますし、ぜひとも積極的に取り組んでほしいところ。

音楽イベントを行う上で「場所」というのはある意味出演者よりも重要な要素。「町」はそれをサポート出来るのか。人気スポーツやアニメばかりが国家事業とばかりに取り沙汰されるなか、本当に解決すべき非常に大きな課題が、この日の議論の中で浮かび上がってきたような気がします。

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