菊地成孔 南博 at ザ・フェニックスホール (Osaka)

この日はザ・フェニックスホール菊地成孔 南博のデュオを観に行きました。

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フェニックスホールは、タラフを観て以来ですが、この日は1階席での観覧。2階席を見上げると、一列目すら埋まりきっていない、という寂しい客入りでした。月世界の時はチケットが完売してたので、いよいよ関西でも人気アーティストになって来たのか、と思ってたんですが……。

開演時間になると、まるでヤクザかチンピラのようなスーツ(菊地氏はアクセサリーで、より若頭風に)で二人が登場。いつもの感じだと、このまま演奏に入るところで、菊地氏がマイクを取り、今回のツアーのコンセプトやライブの概要などついて、いつものジョークを交えた長めのMCを展開。

ピリッとしていた会場内の空気が解きほぐれ、アルバムの流れ通り、即興を挟みながらカバー曲、菊地氏のオリジナル曲を交えながら、続けて6曲演奏。

南氏のピアノを生で聴くのは、名古屋でのペペのライブ以来なので約4年振りでしたが、やはり一音鳴った瞬間にとろけるような、甘美で美しいプレイ。しかも、今回はホール鳴りで聴かせる会場なので、PAを通さない生音。木目の細かいグラデーションのようなタッチのコントロールが素晴らしく、超高精細な映像を観ているような快感すら覚えました。CDでは、この繊細な音はなかなか再現できません。

対する菊地氏も、いつもなら複数のメンバーがソロを取るのでタクトに回ることも多いですが、この日はデュオ。とにかく、吹いて吹いて吹きまくります。長年絡んでいるだけのこともあり、南氏との相性もバッチリ。即興では、作曲されているかのようなインタープレイの応酬に、終始圧倒されました。まさに、息を飲むような演奏。こちらも、CDだけではなかなか堪能できない、ビジュアルや空間の緊張感が伴ってこそ、の激しくも美しい見事な掛け合いでした。

6曲が終わると、再びMC。ここでは、ショーターの創価学会話(インタビューの時に、質問を投げたらありがたい教えが返って来て、意向損な話ばかりだったというエピソード)、マイルスに関する話(カインド・オブ・ブルーがそのうちモダン・ジャズの典型になるのでは、という話と、ブルー・イン・グリーンが元々ビル・エヴァンスの曲なのにマイルスが自分の曲にしてしまったという話など)、ミンガスと色に関する話(怒れるミンガスのドキュメンタリー映画でのエピソードや、菊地氏が色弱だという話)など、大量の蘊蓄を交えての、さらに長めのトークでたっぷり楽しませてから、「オレンジ色は彼女の色」、そしてアルバムでは演奏しなかったモンクの「ブルー・モンク」をプレイ。「ブルー・モンク」は好きな曲でもあり、演奏も強力でしたが、アルバムの雰囲気には合わないような気はしました。だからアルバムに入れず、ライブで披露したんでしょうか。

ラストの「ラッシュ・ライフ」の前も、作曲された当時のアメリカのこと(1956年にアMリカは大きく変わり、以降40数年間、何も変わっていないという話)や楽曲の解説(「LUSH」は「酔いどれる」という意味だ、という話。ここで南氏から「LUSH」の発音に対するネイティブな指摘が入ったり)など、これまたたっぷりと喋っていました。昔のDCPRGでは、結構喋っていましたが、近年はどのライブでもアンコールに入るまでMC抜き、という構成がほとんどだったので、ライブでこれほど喋ったのは、アコースティック・ジャズでは初めてだったんではないでしょうか。氏のファンとしては、これぐらい喋ってくれた方が嬉しいですね。

アンコールでも、南氏のタバコ休憩と言いながら、おそらく吸い終わってずいぶん待たされてたんじゃなかろうかというくらい喋り、アルバムにも収録されている、バッハのナンバーで終了。

これ以上無くたっぷりと演奏を目と耳で堪能し(座席も南氏側で、指の細やかな動きからペダルの操作まで、じっくり見ることが出来ました)、久々に菊地氏の喋りも楽しむことができたこの日のライブ。本当に素晴らしかったです。
来なかった人は、とことん後悔すればいいと思いますよ。

<セットリスト>
1. 即興
2. フォール
3. 即興
4. 作曲された花と水
5. 即興
6. ブルー・イン・グリーン
7. オレンジ色は彼女の色
8. ブルー・モンク
9. ラッシュ・ライフ

〜アンコール〜

13. チェンバロ協奏曲 第五番 ヘ短調 第ニ楽章: ラルゴ BWV.1056

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