冬RUSH at 神戸国際展示場 (Hyogo) 〜 山本精一、砂十島NANI、須原敬三BAND at Namba BEARS (Osaka)

この日は、日中冬RUSHへ、その後移動して、Namba BEARSで山本精一、砂十島NANI、須原敬三BANDを観ました。
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冬RUSHはタダ券が当たったので怒髪天でも観て帰ろう、ぐらいのライトな気持ちで神戸国際展示場へ。しかし京都から会場まではショートカットのしようも無い面倒で遠い場所で、若干後悔。そして、会場前でタダ券当選者の受付が長い列になっているのを見て更に後悔し、20分ぐらい寒い中待たされた先に待っていた、受付のスタッフが咳き込んでいたのを見て気の毒な気分に。

会場内はロビー的なエリアと、ステージ、フードコートのあるエリアに分かれており、ステージ前のフロアは、前方ブロックと後方ブロックに分けられていて、タダ券チームは前方ブロックに入れない、という仕組み。まあ、タダですからね。

音が大き過ぎて演奏中は常時耳栓を着用してました。ジンの演奏中にとりあえずカレーを食べましたが、シャバシャバで量も少なくてがっかり。

怒髪天は文句無しに楽しく、これだけでもタダで観られて良かったな、という感じ。あと数バンド、あんまりピンと来ない演奏が続いたあと、ボロフェスタ以来久々に観たYOUR SONG IS GOOD。今年に入ってロック路線になったという噂だけ聞いていましたが、衣装にアロハシャツもレイも無く、音もハードでパンキッシュになっており、これまでのカリプソナンバーもBPM速めでかなりアグレッシブ。元々ハードコアパンクバンドだったらしいので、原点回帰といったところでしょうか。フロアもこれまでで一番の盛り上がりを見せていました。

とりあえず満足したので、ここで僕の冬RUSHは終了。そそくさと難波へ移動。

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ベアーズ内はたくさんのお客さんで、この謎のバンドへの期待の高さが窺い知れます。

そして、開演時間から30分ほど経過すると、お客さんの期待が徐々に不安へと変わっていきます……。

BGMにお経が30分以上流れる中、照明が落とされ、何故かステージ上の非常口のライトを目張りするようにしてテープで覆い隠し、光が漏れないようにし、PAも、セッティングを終えると、全ての照明を消し、会場内には、アンプから発する赤いLEDの光のみに。

完全に漆黒の闇になったところで、メンバーが登場……と言っても、本当に全く見えないので、バックステージの扉が開閉される感覚でしか分からず、だれがどこにいるのかも全く分かりません。

ほとんど無音の状態で、たまに微かにギターの音が聞こえる、という極限状態。

ささやくような小さい声で須原氏がとぎれとぎれに喋っていたかと思うと、突然山本氏が「どうもありがとうございました」とはっきりした声で一言。それに合わせるかのように、突然爆音とブラストビートが轟き、今日はこういう路線か……と思いきや、10秒ほどでそれも終わり、また微妙に長い沈黙へ。一体次に何が起こるのか、皆目見当がつかず、また突然爆音で来るのかと思うと、真っ暗闇ということも手伝って、まるでお化け屋敷にいる気分になります。

たまに、各自が微音を断片的に鳴らしながら、真っ黒な沈黙を生み出し続ける時間が続き、突然「地縛霊だぁぁぁ、ぐおぉぉぉぉ」などと叫びだしてハードコアな演奏になりながらも全く持続せず、山本氏が「ゆーきーのふーるだーぬきー」と「雪の降る街を」の替え歌を歌い始め、またすぐに止める。「ずびずばー、ぱぱぱやー」と「老人と子供のポルカ」を歌い出したかと思うと、やっぱりすぐ止める。

そのうち、悪代官のような掛け合いを始めたり、「誰だお前は……」などと内容の無い会話を始めたり、「Jumpin’ Jack Flash」を一瞬だけ弾いてすぐ止めたり……そんなことをやり続けるという、荒唐無稽すぎる演奏だけが延々と続きます。

1時間もしないうちに「ありがとうございました。これで終わりです」と言ったかと思うと、「アンコールは5分後ぐらいに始めます」と言い、ステージを降りた気配もなく、フロアが不安げにざわざわしてると「まだここにいますよ」と暗闇から声がしてよく分からない安心感に包まれるという、変な感覚で翻弄し続け、なにしろ演ってる方も聴いてる方も、どこで終わりなのかが全く分からず、何をきっかけに何が起こるのか、そもそも何かが起こるのかさえ全く分からない状況です。

演奏がずっと続いていればその心配も紛れますが、先に書いた通り、ほとんどの時間が「沈黙」です。沈黙の隙間で、無理問答のような会話が続く感じ。

そう、この日はほとんどが会話ばかりで(そう、歌ですら無い)、須原氏のベースは時折聴こえたかと思うともう弾いていないし、山本氏も生音しか聴こえないようなボリュームで思いつきを弾くだけ、NANI氏は後半で「そのギターの音の大きさやと、俺ドラム叩けないっすよ」と言っていたように、ほとんど叩かず。そもそも、1センチ手前も見えない闇の中で楽器が弾けるのかという話ですが。

「おかあちゃぁぁぁん、B29やぁぁぁっ」と叫びながら、この日最長(それでも多分1分ぐらい)の轟音演奏が続いた後、「こんにゃく投げてしもたぁ」の言葉に、一体会場内がどんなことになっているのか更に不安を募らせていると、「本当にこれで終わりです。ありがとうございました」と言って、どうやら終わったような気配があり、ほのかに安堵の感が漂ったものの、客電はいつまでたっても点かず、真っ暗なまま。
どうやらステージには誰もいなさそうだし、終わったって言ってたけど、これじゃあ、帰るに帰られない……と不安が立ち籠めていると、またもやメンバーが登場。しかし、メンバー自身もお互いに存在の確認出来ないので、「あれ、須原くんいてるかな。須原くーん」と、まるで山で遭難したかのような状態に。

その後は、山本氏とNANI氏が、

「お金欲しいなぁ。3000億兆円ぐらい欲しいわ」「欲しいっすねぇ」「みんなお金好きやろ」「そら好きでしょう」「舐めたらええねん。そんな好きやったら」「いや、そういう好きとはちゃうと思いますけど……」

というような中身の無い会話が続き、山本氏の祖父が埋蔵金の在処を知っていたけど、その手がかりをハトに付けて飛ばしたとか、山本氏が冷凍怪獣バルゴンが好きだったとか、ドローンっぽいギターを弾いて「音響派やでぇ。大友良英やでぇ」とか言ってみたり、二人ともサングラスをしていることを告白したり(何故だ……)、「おっちゃん、“あばんぎゃるど”ちょうだい」「はい、300万円」などと、「アバンギャルド」を大阪弁で言うと温かい響きになる、という、暇な楽屋でだらだらしているかのような会話が永遠続くというひたすら阿呆な状態に。
最後はメンバーが思い思いのタイミングでこっそりステージを去り、沈黙だけが何分間も続き、お客さんがステージをケータイの明かりで照らしてみると誰もいない……ということに気づいたタイミングで照明が点き、改めてメンバー三人が登場。なんと山本氏はもうサングラスを外していました。

この後、メンバーから私物のプレゼント大会。レアなソノシート、sonarのパス、NANI氏の衣裳、スーパーボール、プリンタのインク、CD諸々、山本氏が落書きした電球、ケビン・シャープに貰った帽子、今日のステージで山本氏がかけていたサングラス、DRUMANDARAの時の指揮棒などなど。

どうやらこのプレゼント大会の後に山本氏の弾き語りがあったようですが、それを観ること無く会場を後にしてしまいました。最後まで何が起こるか分からないライブでした。うーん、無念。

終始、とにかく出鱈目。悪ふざけ。間違いなく、山本氏でなければ、そしてベアーズでなければ成立しないライブだったでしょう。あまりに馬鹿馬鹿しく、だからこそ面白い。日本の新音楽に通じる、天才的なミュージシャンでなければ成立し得ない音楽というのは、本来こういうことなんじゃないかと誤解してしまいそうなぐらいエクスペリメンタルな夜でした。関西圏以外の人たちよ、羨ましがれ。

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