噂の男 at シアター・ドラマシティ(Osaka)

今日はシアター・ドラマシティ「噂の男」を観に行きました。

かなりレア度の高い豪華キャスト&スタッフで、さすがパルコプロデュース、といった感じですが、内容の方もこれまた壮絶。

関西の演芸劇場(劇中、千日前、という言葉が出るところからすると、大体あの辺り……かな)の舞台袖で繰り広げられる、腹黒い連中の探り合いに騙し合い、という、基本はコメディでありながらドロドロの人間関係が佳境に向かって交錯する、という、謳い文句通りの「いやーな男たちの、いやーなお話」。

スタイルとしては、「人間風車」や「鈍獣」のような、笑いと戦慄がない交ぜになって観客を翻弄し、戦慄のエンディングを迎え、放心状態の中終幕、というホラータッチのコメディですが、各俳優の魅力をたっぷり引き出しながら、ナイロン100℃で観られるケラ流「観賞後に腹の底にどっしりと横たわる黒くて重いもの」が漲っていて、「演出家としての挑戦を」というケラの巧みさが感じられました。少なくとも山内圭哉に関しては、「これまでなかなか引き出されなかった本来の面白さ」が出ているような気がしました。

2時間半の長丁場も全く長さを感じさせないテンポの良さで、それでいながらまくしたてるような威圧的な展開ではなく、各シーンをじっくりたっぷりと見せていく、という緩急の巧みさも絶妙。

中川家による漫才の台本も見事なハマりっぷりで、大体漫才師を舞台などで演じると、「ネタがつまらない」か「役者が漫才を面白く出来ない」という、なんだか気持ち悪いことになってしまいがちですが(WINDS OF GODとかね)、橋本じゅん&さとしのコンビは息もぴったりで、ネタも(完全に中川家スタイルの掛け合いを)しっかりと消化しきっていて、ちゃんと「笑える面白い漫才」になっていたのが素晴しかったです。
久々に、「隅から隅まで中身のぎっしり詰まった濃厚なお芝居」を観させてもらいました。

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